Mリーグの華麗な対局。その一打一打には、プロ雀士たちの研ぎ澄まされた思考が凝縮されている。もし、我々が見落としがちな、しかし勝敗を分ける決定的な瞬間の「思考の裏側」を、詳細な考察で知ることができるとしたら、あなたの麻雀観は大きく変わるだろう。
なぜ、あの時、瑞原プロは放銃を回避できたのか?なぜ、竹内プロはあの牌を残したのか?そして、永井プロのドラ切りに隠された意図とは?
YouTubeチャンネル「発男道場」で公開された動画「【今週のMリーグ考察】瑞原さん…なぜ6mで放銃回避できた?元太選手の北残しの意図とは?」(2025/10/13週)では、Mリーグの対局の中から厳選された3つの名場面を取り上げ、そのプロたちの選択の意図が、NAGA(麻雀AI)の解析も交えながら徹底考察されている。本記事では、その核心的なポイントを凝縮して紹介しよう。
本記事は発男道場の動画より
Mリーガーの選択に見る「思考の深層」
この動画では、Mリーグの対局から特に印象的な3つのシーンに焦点を当て、プロたちの思考を深く掘り下げていく。
考察1:瑞原明奈選手の「6m切り」放銃回避の謎

- 状況: 南3局。瑞原選手は親のリーチに対して安牌が全くない絶体絶命の状況。手元には無筋の4mと6mがあり、どちらを切るべきか、という究極の選択を迫られる。
- 瑞原選手の選択: 瑞原選手はここで6mを切る。そして、これが親の待ち牌ではなく、見事に放銃を回避する「神の一手」となる。
- 思考の可能性: なぜ4mではなく6mだったのか?動画では、この二択にはNAGAでも明確な差が出ないほど難解だったとしながらも、わずかな可能性として、他家の第一打の1mの切り出しから「4mの所持率」を読み、相対的に6mが安全だと判断した可能性が考察される。安牌ゼロの極限状況で、わずかな情報から最善手を見出す、プロの研ぎ澄まされた感覚が光る。
考察2:竹内元太選手の「北残し」の意図

- 状況: 南3局2本場。竹内選手はラス目からの筒子の混一色に向かって手を進める中、ツモってきた不要牌の「北」を、安牌として残し、1手前に切った6pを並べる形で6pを切る。(12334568899西西北)
- 竹内選手の選択: 通常であれば即切りするような不要牌の北を、あえて手元に残す。
- 思考の意図: これは、混一色でテンパイした際に、「8p対子をシャンポン待ちにすることを悟られないようにする」ための、高度な迷彩戦略ではないかと考察される。ここの局面は7pが既に場に3枚切れていることがポイントだ。6pを対子落としを行うことで、筒子の上(8、9p)を出やすくする作為をするために、不要牌の北を抱え、自身の河を「普通」に見せようとした意図が読み取れる。また、この選択を瞬時に行ったプロの判断力も特筆すべき点だ。
考察3:永井選手の「ドラの發切り」の真意

- 状況: 南2局。永井選手は親番で4万5000点超えのトップ目。ツモってきたドラの「發」を、他家(堀選手、大介選手)が鳴いている状況で、あえて「ツモ切り」する。
- 永井選手の選択: トップ目でありながら、ドラの「發」を早めに処理する。
- 思考の意図: この選択の裏には、「最も警戒すべきライバル(本田選手)へのツモ上がりを回避し、リスクを分散させる」という、高度な対局感が隠されていると考察される。ドラを抱え続けると、後に他家にポンされてツモられた場合に高打点になり、着順が大きく変動するリスクがある。そこで、ドラを早めに切ることで、他家を鳴かせ、本田選手以外のアガリによって場を流す、あるいは横移動を誘発させることで、自身の失点を最小限に抑えようとした戦略が読み取れる。
まとめ:プロの思考から、あなたの麻雀を深化させよ
Mリーガーの選択は、常に最善の「正解」ではないかもしれない。しかし、その一打一打に込められたプロたちの深い思考と、状況判断のプロセスを読み解くことは、我々アマチュアが麻雀を上達させるための、最高の教科書となる。
今回の動画で考察されたような、微細な情報から可能性を読み解き、先を見据えた戦略を立てるプロの思考は、あなたの麻雀に新たな視点をもたらすだろう。
ぜひ動画本編を視聴し、プロたちの「神の一手」に隠された真意を深く考察することで、あなたの麻雀力をもう一段階上のレベルへと引き上げてほしい。