麻雀において山から持ってくることを「自力でツモる」なんてよく言ったりもする。多くの打ち手が、この偶然の産物に一喜一憂し、「良いツモ」を引き寄せることを願っている。しかし、もしMリーグの舞台で「ロボ」と称される男・小林剛が、「ツモは偶然。ポンやチーなどの鳴きこそが“自力”だ」と断言したら、あなたはどう思うだろうか?
YouTubeチャンネル「発男道場」で公開された動画「小林剛「”自力でツモる”は間違いです」鳴き判断を3つの牌姿で解説」では、小林プロの代名詞ともいえる「鳴き」の哲学が、3つの具体的な牌姿を通して、ロジカルに徹底解説されている。本記事では、その核心的なポイントを凝縮して紹介しよう。
本記事は発男道場の動画より
小林剛の哲学:ツモは「偶然」、鳴きは「自力」

まず動画の冒頭で、小林プロは衝撃的な持論を展開する。「ツモるという行為は、ただ順番が回ってきただけ。完全に偶然です。一方で、ポンやチーは、相手が切った牌を自分の意思で持ってくる行為。これこそが“自力”です」
この言葉は、彼の麻雀観の根幹をなすものだ。偶然に頼るのではなく、自分の意思でアガリの確率を最大化させる。その最も有効な手段が「鳴き」なのだ。
鳴きの判断基準:鳴く前と鳴いた後の「価値」を比較せよ
動画では、3つの異なる牌姿を例に、「鳴くべきか、鳴かざるべきか」の判断基準が示される。その根底に共通するのは、「鳴く前の手牌の価値」と「鳴いた後の手牌の価値」を常に比較し、少しでもプラスになると判断すれば鳴く、という超合理的な思考だ。
牌姿①:役牌のポン判断

例えば、中を2枚持っている所で門前で進めればリーチのみになる可能性がある。しかし、役牌をポンすれば、リーチに頼らずとも役が確定出来る上に、良い形を残せたりと自由度が利きアガリ率も上がるつまりは放銃率も下がるという。さらには自分がリーチを掛けてツモ切り状態となり負けることもない。そのため、役牌は、1枚目からでも「ポン」を選択するのが合理的と解説される。
牌姿②:一向聴維持の鳴き判断

一向聴の形を崩さずに鳴ける牌が出た。鳴けば打点は少し下がるかもしれないが、受け入れは広がり、一気通貫や混一色などのさらなる高打点への変化も見える。これも、総合的な「手牌の価値」が上がるため、鳴くべきだと判断される。
牌姿③:あえて鳴かない判断

一方で、鳴かない選択肢もある。それは、形の良い一向聴で門前で進めることで、圧倒的な高打点が見込める場合だ。これは鳴く前と鳴いた後での比較になるが、鳴いて2000点の聴牌、面前で8000点以上が見込める場合は、アガリ率を多少犠牲にしても、門前でリーチをかけた方が期待値が高い。この場合は、「鳴かない」という選択が最も合理的となる。
それぞれの牌姿パターンは動画で見てもらえると納得するだろう。
あなたの麻雀に「鳴き」という武器を
小林プロの解説は、我々が抱きがちな「鳴きは安い」「鳴きは守備力が下がる」といった固定観念を、木っ端微塵に打ち砕いてくれる。
鳴きは、偶然を必然に変えるための、極めて戦略的な「自力」の行為なのだ。ぜひ動画本編で、ロボの超合理的な思考の神髄に触れ、あなたの麻雀に「鳴き」という強力な武器を加えてほしい。