相手からのリーチ。自分はトップ目だが、点差はわずか。絶対に放銃したくないこの局面で、手牌には安全牌が1枚もない…。そんな「完全手詰まり」の状況に陥った時、あなたなら何を切るだろうか?もし、絶体絶命の状況下でも、放銃の可能性を1%でも下げるための「思考法」があり、Mリーガーがそれを実践しているとしたら、知りたくないだろうか?
YouTubeチャンネル「発男道場」で公開された動画「【今週のMリーグから学ぶ】安牌ゼロの時に考えること(白鳥翔選手)」では、Mリーグ・渋谷ABEMASの白鳥翔選手が直面した「安牌ゼロ」の局面を取り上げ、その極限状態での思考プロセスを徹底解説している。本記事では、その核心的なポイントを凝縮して紹介しよう。
本記事は発男道場の動画より
白鳥プロを襲った「安牌ゼロ」の状況
動画で取り上げられるのは、南3局1本場、白鳥選手が親番でトップ目という緊迫した場面。ラス目の本田選手からリーチがかかり、ライバルの下石選手は中を加カンして2副露の状況だ。絶対に放銃できない状況で、白鳥選手の手牌からは安牌が尽きてしまう。
手牌には、複数の危険牌候補(全て無筋)が並ぶ。この中から、白鳥選手はどのようにして「最も放銃しにくい牌」を選び出したのか?その思考の裏側には、高度な守備理論が隠されていた。
安牌ゼロで考えること:「コンボ理論」で危険度を数値化する
何もない時は複数ある牌を選ぶというのがこれまでお伝えした鉄則。その上で、「7m(2枚)、8m(2枚)、3p(2枚)、8p(3枚)」が手の中にあり、これらを比較する方法を伝える。まず白鳥選手が取った選択は、手牌の中で2枚持っていた「8m」を切ることだった。なぜ他の牌ではなく「8m」だったのか?
動画では、その根拠の一つとして「コンボ理論」が紹介される。これは、その牌が当たり牌となる「組み合わせ(コンボ)の数」を計算し、危険度を数値化する考え方だ。
- 例: 「8m」が当たるのは「両面・カンチャン・シャンポン・単騎」の4パターン。
- 「両面(67m)」で当たる組み合わせは、残り枚数から計算すると自分から7mが2枚見えているため「8通り(6mの4枚×7mの2枚)」。
- 「カンチャン(79m)」で当たる組み合わせは「6通り(7mの2枚×9mの3枚)」。
- 結論: このようにコンボ数を他の候補牌(例:8pは合計21通り)と比較し、合計コンボ数が最も少ない牌が、統計的に最も放銃しにくいと判断する。この局面では、「8m」(合計17通り)が最も危険度が低いと算出された。
- 動画本編では捨て牌読みのお話も触れられているので是非視聴して欲しい。
知識と観察が「神回避」を生む
安牌ゼロの状況は、運否天賦の勝負ではない。白鳥選手が見せたのは、「コンボ理論」という統計的な知識と、相手の捨て牌の順番という微細な情報を組み合わせ、放銃率を極限まで下げるという、トッププロならではの守備技術だった。
「何を切っても同じ」と諦めるのではなく、あらゆる知識と情報を総動員して、その瞬間の最善手を探し続ける。それこそが、絶体絶命のピンチを「神回避」へと変える唯一の道なのだ。
ぜひ動画本編で、プロの超高精度な思考プロセスを追体験し、あなたの守備力を新たな次元へと引き上げてほしい。







